生きた化石(生きている化石)なのに退治されるゴキブリ-驚くべき生命力と適応能力,退治される理由
題名にもある通り多くの人から嫌われているゴキブリは実は生きた化石なのです!!
あまり、ゴキブリは生きた化石というイメージがわかないと思いますが、ゴキブリは生きた化石です。生きた化石といえば、カブトガニやシーラカンスなどが代表例ですね。
ゴキブリはおよそ2億5千万~3億年前に出現したとされています。人類の祖先が誕生したのはおよそ600~700万年前とされていますから我々人類よりも大先輩です。さらに、霊長類の誕生はおよそ8500万年前と言われていますから、霊長類全般と比べてもはるかに昔からゴキブリは地球上に誕生していたということがわかると思います。
計算してみた
今まで地球では五回の大量絶滅期があったとされていて、1回目がおよそ4億5千万年前、2回目がおよそ3億5千万年前、3回目がおよそ2億5千万年前、4回目がおよそ2億年前、5回目がおよそ6千5百年前ですから、ゴキブリが誕生したのが2億5千万~3億年前であることをふまえるとゴキブリは2回~3回の大量絶滅期を生き抜いていることになります。
そして、各々の大量絶滅期で、その時に生存していた生物種の8割ほどが絶滅してしまいました。3回目の大量絶滅期ではおよそ95%、4回目の大量絶滅期ではおよそ75%、5回目の大量絶滅期ではおよそ70%の生物が絶滅しました。
ここで、単純計算ですが、2億5千万~3億年前に誕生した生物がこの大量絶滅期を生き残る確率を計算してみましょう。
- 過去2回の大量絶滅期(4回目と5回目の大量絶滅期)を生き抜いたと考えた時
絶滅する確率がそれぞれ75%と70%ですから、生き残る確率をそれぞれ25%と30%と考えます。すると、求める確率は
0.25×0.30=0.075 つまり、100倍して7.5%です。
おー、すごいですね。
- 過去3回の大量絶滅期(3回目と4回目と5回目の大量絶滅期)を生き抜いたと考えた時
絶滅する確率がそれぞれ95%と75%と70%ですから、生き残る確率をそれぞれ5%と25%と30%と考えます。すると、求める確率は
0.05×0.25×0.30=0.00375 つまり、100倍して0.375%です
すごすぎ!!
注意しておきたいのは、ここで計算したのは大量絶滅期だけですから、本当は環境要因や外敵などをふまえて計算すべきなので実際の値とは異なります。
ゴキブリの生命力と環境適応能力
ゴキブリがこんなにも長く生き延びたのには、ゴキブリの環境適応能力の高さが鍵であると考えられます。父から聞いた話ですが、ゴキブリホイホイが発売された当初、ゴキブリがおぞましいほどかかっていたそうです。しかし、一年ほど経つとゴキブリが全然かからなくなったそうです。
このことについての研究が実際にあります。
アメリカにあるパデュー大学がゴキブリが持つ殺虫剤に対しての耐性の研究をしました。
実験は大きく分けて3種類行ったそうで、1つ目が3種類の殺虫剤を6か月間交互に使用する実験で、2つ目が2種類の殺虫剤を混合させたものを6か月間使うという実験、3つ目がゴキブリが耐性を持っていないと判明していた1種類の殺虫剤を6か月間使うという実験でした。
結果は以下の通りです。
1つ目の実験 ⇒ 増加を極力抑えることはできたが、減らすことはできなかった。
2つ目の実験 ⇒ 効果なし。ゴキブリ増加。
3つ目の実験 ⇒ 最初は駆除できた。しかし、その後増加。
3つ目の実験からわかるようにゴキブリはたった半年ほどで殺虫剤に耐性を持ってしまったのです。また、殺虫剤に対する耐性は子孫にも受け継がれ、一世代で耐性が4~6倍にもなったそうです。
環境適応能力高すぎるやろ!
つまり、このまま殺虫剤を使い続けても、ゴキブリは耐性をすぐに獲得してしまうので、新しい殺虫剤を作ったら、ゴキブリが適応し、また、新しい殺虫剤を作るという、いたちごっこを繰り返してしまいます。将来的には駆除が不可能に近くなるかもしれません。
ですから、もし、ゴキブリを駆除するならば、新聞紙で叩き潰すという確実な方法がおすすめです。新聞紙で叩き潰すのが嫌だという方は凍らせてゴキブリの動きを封じる駆除剤や泡などでゴキブリを窒息させる駆除剤などがおすすめです。
ゴキブリの繫殖力
ゴキブリの卵
ゴキブリは複数の卵が入ったカプセルのようなものを産みます。カプセルに入っている卵の数は種類によりますが、およそ20個で、産卵は死ぬまでにおよそ20回します。
つまり、ゴキブリが死ぬまでに産む卵の個数は単純計算で
20×20=400
およそ400個です!!
ちなみに、ゴキブリの卵が入っているカプセルのようなものは頑丈で中の卵を守る役割をしているので殺虫剤でも効かない場合が多いです。さらに、恐ろしいことにはゴキブリのメスを殺しても、中の卵が生きている場合もあります。
卵を見つけてしまった場合は新聞紙にくるんでつぶしてしまうのが確実でしょう。
もし、駆除しなかったら、大変なことになりますからね。
例えば、全くゴキブリを駆除せず、クモやヤモリなどの外敵にもゴキブリが食べられなかった場合を考えてみます。(計算の都合上)
始めいたゴキブリのうち、5匹が卵を産むとします。
これらのゴキブリが一生に産む卵は
5×400=2000 2000個です!
すごい数でしょ? これが、2世代、3世代...と続いていくわけですから...
実際にはクモやヤモリがいるのでここまでひどくはなりませんが・・・
それでもね...やばい!
また、卵を見つけることができた場合は潰せばいいのですが、実際なかなか見つからないので毒のエサを置いておくことをおすすめします。確実ではありませんが、増加の具合を多少食い止めるほどの効果はあると思います。すべてのゴキブリを殺せなくても卵を抱えているメスを一匹でも退治できれば、数百匹のゴキブリが生まれてくるのを阻止できますし、生まれてきたゴキブリが次の世代を残すこともなくなるので、効果はあると思います。また、生まれたばかりのゴキブリを退治するという手でも有効です。
ゴキブリのメス
ゴキブリのメスは自分が殺されそうになると産卵する場合があります。おそらく、ゴキブリは子孫を残すことに大変必死なのでしょう。
「子孫は意地でも残す。だから、卵だけでも...」 って感じで...
ゴキブリの身体能力
ゴキブリの足が非常に速いのは皆さんご存知でしょうが、実際どれくらい速いかはご存知でしょうか?
ゴキブリは時速5kmほどで、人間サイズにすると時速300kmほどだそうです。
時速300kmは新幹線やフェラーリ、ランボルギーニと同じくらいですね。
ちなみに、こんなに足の速いゴキブリですが前にしか進めないようで、後退はできません。
ゴキブリはなぜ殺されるのか
ゴキブリは見つけたら退治しようとしますよね。なぜ、退治するんでしょう?
気持ち悪いからも理由の一つかもしれませんが、それはゴキブリにとってはあまりにも理不尽です。確かに気持ち悪いかもしれませんが...
ゴキブリを退治しなければならない理由は大きく分けて二つあって、一つ目は衛生上の問題、二つ目はゴキブリが漏電させる可能性があるからです。
衛生上の問題
ゴキブリはサルモネラ菌、赤痢菌、チフス菌、大腸菌などの病原菌を伝播します。
それぞれの病原菌によって引き起こされる症状の例は以下の通りです。
こうして見てみると、ゴキブリはかなり危険な病原菌を運んでいるとわかります。ゴキブリが移動したところには上のような病原菌があるかもしれませんね。
また、ゴキブリの糞や死骸によって引き起こされるアレルギーもあります。
ゴキブリが漏電させる可能性
ゴキブリは暖かく暗い場所を好むので、家電製品の隙間に入ってしまうことがあります。そして、家電製品の隙間に入ったゴキブリが内部の電気系統に触れ、漏電を引き起こしたり、ショートさせたりする場合があります。最悪の場合は漏電が原因で火事になる可能性もあります。
最後に
我々日本人からするとゴキブリは害虫なので、屋内にいるイメージが強いですが、世界にいるゴキブリのほとんどは熱帯雨林などの森林の中で生息しています。また、ゴキブリは我々人間よりも遥かに前から地球に存在したので、ゴキブリ側からすると「後から生まれたくせに...」という感じかもしれません。
ただ、家に出てくるゴキブリは人間にとっては有害なので、見つけ次第、駆除したほうがいいでしょう。しかし、駆除するにしてもゴキブリは一応大昔から地球に存在する大先輩であることもお忘れなく。